今週のピックアップ値動き「東京タイムで規定させた節目の戦い方」
4時間足
今週のドル円相場は、レッドゾーンを上抜けたところで「反発されるか」それとも「更に続伸するか」この辺りが注目だったかと思いますが、結果的には直近最高値(黄色ライン)を上抜いて続伸しました(白矢印)。
では、この辺りの値動きで上昇に転じるきっかけとなったタイミングはあったのでしょうか?
オレンジ枠内を1時間足にして見ていきましょう。
1時間足
まずこのチャートから分かることは、①強く反発された箇所(白矢印)と、②更に力強く売り込まれた箇所(黄色矢印)です。
①:その日の最高値を付けて反発させた値動きを作ったため、当然意識されやすい価格水準ではあります。
②:①の反発する値動きによる警戒感などから更に売り込まれた価格水準です。
②では4時間足でもほとんど上ひげを付けずに陰線を確定させています。
そして翌日の東京タイムでは何度か②の価格水準を試す動きを作っていますが、いずれも反発されています(緑矢印)。そしてこの値動きによって②は上値の重い水準(赤ライン)だということが分かります。
つまり、この赤ラインは、「強く売り込まれており」かつ「東京タイムでは超えることができない」価格水準であることが規定されました。この動きによって投資家達もよりこの価格水準(赤ライン)を意識し始めます。
そしてロンドンタイムに入る直前ではこの赤ラインを上抜いていき、ロンドンタイムに突入すると、この時間帯特有のストップ狩りのような値動きを作ってから本格的な上昇に転じています(赤矢印)。
このような東京タイムで節目を規定させた価格水準を、ロンドンタイムで超えていくような動きを作った場合というのは、一つのサインとなることが非常に多いです。
当然、ここからは更に時間足を落としていってプライスアクションを見た方がより精度は高くなりますが、大前提としてこのような動きの流れを把握しておくとトレードでは強い武器になります。
それでは来週のトレード戦略を始めましょう。
来週のトレード戦略
週足
今週もまた続伸し陽線を確定(白矢印)。
非常に強い抵抗帯であるレッドゾーンをしっかりと上抜いて、ブルーゾーンまで上昇させました。
とにかく強いですね。
先週足に比べれば小さなローソク足となり、少しづつ圧力は弱まっているので、ここから多少の調整下落は来てもよさそうではあります。
個人的にはまたレッドゾーン付近までは落としてきてもよさそうではありますが、しかし、どちらにしてもショートを仕掛けるよりは、しっかりと落ちるまで待った方がよいと思います。
日足を見ていきましょう。
日足
日足で見た場合、今週はほとんどレンジ相場だったことが分かります。
とはいえ、反発は限定的なのでまだここから続伸していく可能性もあるでしょう。
今はロングを軸に戦っていきたいので、できれば落ちてきたところで仕掛けていきたいところです。
そのような押し目として有効そうな価格水準として目安にするなら、レッドゾーンと黄色ラインを引いておいてもよいかもしれません。
一つだけ例を挙げるとすれば、このようなトレンド形成後に調整相場に入っても、下落が限定的な値動きで続伸させた場合は、図(白ライン)のようにダブルボトムのようなチャートパターンを描いてくることがよくあります。
これはたくさんある中でのたった一つの例なのでまだ分かりませんが、どちらにしても一旦は落としてくるのを待ちたいところですね。
4時間足
前回引いた黄色ラインと紫ラインは消して、2本の緑ライン(107.813, 108.024)だけは残しておきました。
まず高値を切り下げてきましたね。
そしてオレンジ枠のローソク足に注目すると、3本連続で陰線を作り、そのうち2本は長い下ひげも付けています。
基本的に上値の重い水準では長い下ひげの陰線などを形成してくることがあり、このようなローソク足が出現した場合は下げてくることが多いですが、とはいえ今すぐにショートは危険でしょう。
他に2本ラインを追加します。
赤ライン(108.809)
赤ラインはこのレンジ相場の中でも中央に位置する節目として意識されています。
紫ライン(108.334)
この紫ラインは大きく上昇する動きを作った(白矢印)最初の価格水準です。
ここを下抜いてきた場合は緑ライン付近まで落とす可能性があります。
1時間足
1時間足で見ても現時点ではショートは禁物かなと思います。
もしショート仕掛けるのであれば、少なくとも赤ラインに3回アタックして抜けたときがいいかなと。
要するに「今週のピックアップ値動き」で話したような、節目を規定させてきてからの、ロンドンタイム以降での仕掛けですね。もしそのよう値動きが来るならショートを検討しても良いかもしれませんが、それ以外に何かしらの上値の重い動きを確認できない限りは、安易なショートは危険かなと思います。
もし月曜日早々に上昇していった場合は、ブルーゾーン付近から強く反発して戻してくる可能性もあるので注意した方がよいかもしれません。そろそろ上昇圧力も落ち着いてくる頃合いだとすれば、現時点の値動きではブルーゾーンを超えることはできないと思うからです。
また、高値を切り下げてきたことによってトライアングルを形成してくる可能性もあるので、こちらも少し気にしておくとよいでしょう。
まとめ
少し戦略を改めなければいけないかもしれないですね。
僕は1月に大きく上昇する値動きを見て、トレード戦略では「ここから中期的にトレンド転換する可能性がある。それはおそらくブルーゾーンあたり、もしくは最大でもレッドゾーンあたりまでの上昇はある」と話していました。
しかしそれはあくまでも中期的な話で、そこからはまた上値の重い展開を作り下落に転じる可能性が高いと想定していましたが、これほど強い値動きでレッドゾーンまで超えていくとなると少し考えを改めなくてはいけません。
2016年の大統領選では、トランプが当選したことによって景気回復の期待からドル円は力強い相場を形成して101円台から118円台まで上昇しましたが、今回は「より大きなポジションの偏り」と「より大きな景気回復の期待」があります。
これらを考慮した場合、もしかするとまだまだ上昇相場を形成していく可能性も否定できません。
実際に米国では新型コロナウイルスのワクチン接種が1億回の大台を突破し、新規感染が8週連続で減少しており、経済指標も力強い数値を付けています。
またバイデン政権による1兆9000億ドルの追加経済対策では、一人当たり1400ドル支給され、ワクチン普及が追い風となって個人消費が加速する見込みです。
そんな中で来週16日,17日にFOMCが予定されています。
政策金利、量的緩和は現状維持が濃厚ですが、ワクチン接種や米国の経済指標が改善されているため、パウエル議長の発言、FOMC参加者の政策金利見通しなどに注目が集まります。もし金利上昇に関して楽観的な姿勢があれば更に金利上昇に繋がる可能性もありそうです。
トレードとしては基本的にはロングを軸に戦っていった方がよいでしょう。
ただし、やはり今はなかなか仕掛けにくいところではあり、一旦は落ち着くのを待ちたいところですね。